歯と健康について

飲食とむし歯のリスク

ミネラルの出入り

むし歯の主役がミュータンス菌であるとすれば、脇役は食べ物です。
何十年も前には、むし歯の原因はビタミンの欠乏ではないかと疑われたこともありました。
今でも、砂糖をたくさん食べるとむし歯になりやすいと考えている専門家もいます。

人間のエネルギー源として、糖(ショ糖など)は欠かすことが出来ませんが、糖が口の中に入ると、口の中の細菌は酸をつくり増殖します。
細菌が要塞のようなバイオフィルムをつくっていない限り、歯を守る主役である唾液がこの酸を中和してくれます。

では、バイオフィルムをつくっている場合はどうなるでしょうか。
ミュータンス菌はその閉ざされたバイオフィルムのカプセルの中で強い酸をつくります。このため飲食物が口に入った直後、バイオフィルムは強い酸性になります。唾液は食べ物のカスを洗い流して酸を中和しますが、バイオフィルムの中は溶け出したリンやカルシウムなどミネラルは歯の中に戻ってきます。
エナメル質の表面にバイオフィルムがあるとき、エナメル質からミネラルが奪われ、再び表面からエナメル質の内部に戻るという出入りを繰り返しています。

まるで、地表の水分が強い日差しによって蒸発し、また雨となって地中にしみ込むその様子を「脱灰(だっかい)と再石灰化」といいます。

大切な食事管理

糖尿病の治療では、食事の管理がとても大切ですが、むし歯の治療でも実は同じです。

患者さん自身が自分の飲食習慣を自覚し、飲食物の性質(糖の多いものか、口の中に長時間あるものか?)、飲食の頻度、就寝前の糖の摂取に注意しましょう。
長時間口の中に糖があったり、だらだらいつも間食をとっていたり、寝る前に甘いものを食べると、むし歯のリスクが高くなります。

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